忙しい夜勤時こそ気をつけたい接遇

介護施設の利用者は夜間に困ったことがあれば、ナースコールで職員を呼ぶ。日中のように夜間も職員を配置できる介護施設は稀で、どうしても人手が手薄になりがちだ。いくつかの部屋でナースコールされ、職員が一人で対応しなければいけないことも珍しくない。そこで職員の対応や接遇が問題となるケースも見られる。
滋賀県運営適正化委員会の資料から一例を挙げると、「夜間にナースコールを押したが職員が来たのは30分後。後日利用者の家族がなぜ30分もかかったのか説明を求めると、『職員は一人しかおらず、利用者は沢山いる。すぐに駆けつけられるわけではない』と強い口調で言われた。」という苦情があった。
確かに1人で働いている場合すぐに駆けつけられないのもわかるが、この言い方では利用者とその家族が不快に感じるのも頷ける。その後、施設では苦情受付担当者が利用者らに説明と謝罪を行っている。

職員に必要なのは、相手の立場に立って考えることだろう。介護は人を相手にする仕事であるから、思いやる気持ちが大切だ。利用者の承認欲求を満たしてあげることは、介護施設において重要なポイントである。承認欲求は認めて欲しい、受け入れて欲しい、といった気持ちだ。
ナースコールを押したのに30分も放置されていた利用者は、どのような気持ちになっただろうか。無視されている、または受け入れてもらえないような気持ちだったのではないか。
さらに、家族に対しての話し方も、もっと丁寧にすることが可能だ。他の利用者の対応に追われていて行けないにしても、申し訳なく思う気持ちを全面に出して説明すれば、利用者の多くは理解してくれるだろう。もてなす心で利用者に接することを忘れないようにしたい。